残骸

映えない人生

呪縛

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痴人の愛を読み終えた。

 

ナオミと譲治、2人を一言で表すのであれば

我儘破天荒ビッチとモラハラ脚フェチマゾ男って感じ

 

小悪魔なんてもんじゃないよねナオミは。ナオミはナオミだけど譲治も譲治だからお似合いなんだろうけど…  譲治に対してだけ我儘で見下してる態度を取るならまだしも、そのへんの女とかまでバカにした態度を取るからナオミのことは好きになれなかったな。それがなければ「悪い女だなあ〜!」で済んだんだけど個人的には。譲治も最初は超モラハラ夫っぽかったから好きではなかったな。まあそれは時代なんだろうけど、現代の女から見たら立派なモラハラ男だからね。でも最後はもうかわいそうで……いやでもこれが譲治の幸せなんだろうな。

自分好みに育て上げたナオミをずっと自分の側に置いておくつもりでいたのに、こんな逆転劇ってあるんだろうか… 手懐けるはずの女が毒牙を持って成長し、いつの間にか自分の心に深すぎる根を張っていつしかそれが生き甲斐になっているという…怖すぎるでしょ

 

譲治がナオミに出ていけ!と言った時、小一時間はせいせいした気持ちになったのも束の間 その後の時間は後悔し続け、帰ってきたらあれもこれもしてやろう、もう絶対怒ったりしないぞ…と延々と考え続け ここにナオミがいてくれたらどんなに嬉しいだろうと思い巡らせる部分、

 

 

 

めっっっちゃくちゃ身に覚えがあって辛かった…………  びっくりした…大正時代から平成の女子高生の私の気持ち代弁されたかと思った……

そう思うとすごい小説だよね。活字の世界から時代を越えてきたと思ったもん。

 

 

後半にかけては完全にSMの世界観だったよね。脇の毛を剃るシーンなんてこっちがドキドキしちゃった。一切私に触れないで毛を剃りなさい、左手は膝に置いてって言うの。それまでの時間、すごく焦らされて指一本も触れさせないで爆発寸前な相手を尻目にこの期に及んで「待て」させるなんて…… そりゃ譲治は四つん這いになっちゃうわ。このまま人生でナオミに飼い殺されることこそが至上の幸福なんだろうなと思わずにはいられない。完璧なまでの主従関係。除毛のシーンでナオミのこと殺すのかなって一瞬思ったけど、そんなことはなかった。彼は完全なる飼い犬だった。ナオミもそんなことしないってわかりきった上で剃刀渡してるんだろうし… それに一緒に死ぬなんて純愛だもんね。ナオミにそんな気持ちがあるわけない。譲治から見たら恋愛話だけど、ナオミからはそんな気持ちこれっぽっちもないんだろうな。最初からなかったかと言えばそうじゃないんだろうけど。「譲治さん、私のこと捨てないでね」と言った時はまだ愛情があったと思うんだよね。(え、これ私も騙されてる?)

 

 

でもあそこまで自分に惚れているという自信を持っているナオミは羨ましいなあ。相手が自分からは絶対に離れられないという確信が羨ましい。

 

愛は呪いだねえ

 

 

 

次はなにを読もうかな

ずっと読みたいと思ってるのは三島由紀夫の「禁色」なんだけど、もうちょっと探してみよう。仕事がないと読書もブログも両立できるな(笑)