残骸

映えない人生

事件ファイルNo.201

 

ある日の昼下がり

私は入金に行くため、職場のエレベーターに乗っていた。

 

職場のビルはとても古い。

恐らく大地震が来たら死ぬ。大地震どころか、震度3でも「え?え?こんなに揺れます??」というくらい揺れる。そんな震度3で命の危機を感じるビルのエレベーターはもちろん、それに似つかわしい仕様である。

 

上に昇る際に「そろそろ5階かな」と思って表示されている階数をちらりと見ると、なんとまだ2階にいるということが何度もある。何度乗っても慣れない遅さ。これには京王百貨店エスカレーターもびっくりする速度だ。亀にも怒られそうである。

 

そんなエレベーターで下のファーストフード店の店員さん(おばちゃん)と同乗し、1階まで降りた。

会話のないエレベーターの中では すん…  とした空気になり、扉が開いた瞬間に開放感に満ち溢れる。私はあの静かな空間で、いつもお腹が鳴りませんようにと祈ってしまう。

 

 

今回も清々しい気持ちでエレベーターを降り、その先にある少ない階段降りようとした その時

 

 

 

 

あるモノが目に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄色い、…液体?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンときた。

 

隣はファーストフード店。何かこぼしてしまっている事は多々ある。これは油か何かだろう。踏んでいたら滑っていたかもしれない。坂本九には悪いが上を向いて歩いていなくて本当に良かった。まあそもそも私は坂本九とは何の縁もゆかりもない、令和を生きる女なので悪びれたりしなくてもいいのだが。

 

 

しかしここでエレベーターに同乗していたおばちゃんが世にも恐ろしいことを述べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そこ踏まないように気をつけてね、

 

 

多分…………さっきここでおばあちゃんがお尻出しておしっこしてたから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治安

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや治安というか

もう、…何だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わかる人はわかると思うのだが、このビルは入り口ガラスの自動ドアがあり、決して草むらなどではない。ショボいはショボいがエントランス的なものだ。どうした?ボケているのか?お尻を出した子1等賞とかじゃないぞ。

 

油で滑って転ぶならまだしも、人のおしっこで滑って頭打って死んだら死んでも死にきれない。おしっこの霊となってビルを徘徊するだろう。(悪霊)

 

 

というか何故、両隣がファーストフード店にも関わらずここで用を足したのか。世にも奇妙な物語である。自動ドアからタモさんが出てくるのではないかと思った。

 

 

 

そんなわけで街中にはトラップがたくさんあると改めて思った。コロナ以外にも気を付けるべき事はある。街中のおしっこはマスクでも手洗いうがいでも防げない。このブログを読んでいる人々も、街中のおしっこには用心してほしい。それでは良い週末を