残骸

映えない人生

職場内SM

 

仕事中に電話を取った。

普段は受付はあまり電話を取らないのだが(受付は1人なので)、今日は忙しい上に検査スタッフが2名しかおらず、バタバタしていたので私のスーパー鬼速電話対応の見せ所であった。

 

私の中では時間を割いて来院してくれている人が第一優先だ。電話では最低限をスムーズに伝えることを心掛けている。そうでないと現場は回らない。

 

 

そんな心得のもと、今日も電話対応をしていた。

 

電話は第一声で、印象が決まると思う。

印象というか、どんな奴が大体わかってしまう。不躾にいきなり話し始める奴、何故かタメ口の奴、初っ端からキレている奴…こういうのに当たると「あ、嫌いです」と言ってそのまま切りたくなる衝動に駆られる。

 

今日の電話のおじさんは優しい声だったので、

忙しかったが丁寧な対応をしようと思った。

 

 

その電話では「以前○○にかかって、治療を受けたのですが〜」から入った。もうわかる、この話長くなるぞ、と。だが同じ職場で3年も働いていれば医師や看護師でもなくても、大体のことはそれなりに受け答えができる。私は辛抱強くおじさんの話に耳を傾けた。

 

 

「それで、その時○▲&/?がただれてしまって…痛みもあって…」

 

私には○▲&/?の部分が何だったのかよく聞き取れなかった。

 

「ん?ごめんなさい、よく聞こえなくて…

何に痛みがあったんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ、ぇ、あの、……ペ○スです…スミマセン…///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、なんかゴメン。

 

 

 

 

 

なんということだ。

自然派言葉責めプレイをしてしまった。

 

 

 

ん?どこが痛いんだい?ちゃんと言わなきゃわからないよ?という、自然派言葉責めプレイを、電話で。

 

ちなみに言葉責めを嫌う女子は実は多いが、私は悪くないと思う。「言わせる」のが相手の性癖であるならば、それに全力で乗るのがパートナーだろう。セックスは性癖の見せ合いじゃないか。シラけてどうする。出し入れするだけなんて勿体ないとすら思う。セックスによる全ての行為が愛で賄えるとは思わないが、双方多少のエンターテイメント性は必要だろう。

 

 

 

 

話は電話に戻るが、私はスーパー攻め様ではないので恥ずかしいことを二度も言わせてしまった申し訳なさでいっぱいになり、鬼速電話対応を封印し、ウルトラ丁寧対応に切り替えた。

私は最後まで話を聞き、よくよく聞くとうちではなく他で診てもらった方が良いと思ったので他の医院のご案内をした。

 

 

おじさんにはすごく感謝された。

 

「ご丁寧に、ありがとうございます。

とても助かりました。」

 

 

感謝を述べられ、私も良い気分になった。

忙しくてもある程度は親身になって相談を受けることも大事だなと素直にそう思った。

 

 

しかし続けて、

 

 

「あの…また何かあったら電話で相談してもいいですか」

 

「ぁ、ぁぁ、はい、

(こっちが暇な時なら)大丈夫ですよ(^-^)」

 

 

 

あろうことかこのおじさん、私の自然派言葉責めプレイに味を占めてしまったのかもしれない。

 

 

私が受付兼、女王様になる日は近い。

そんな日を思いながら、鞭を振り下ろす気持ちで受話器を置いた。